
神様のカルテ (小学館文庫)
夏川草介
小学館 / 2014-02-26
この本について
最近、前に進まなきゃと思うほど気持ちが空回りして、足もとが見えなくなる瞬間ってありませんか。やるほど霧が濃くなるような感じというか、自分はいま何を大事にしたかったんだっけ…と立ち止まりたくなるあの感じです。僕もよくそこで迷って、この本に戻っていました。 『神様のカルテ』は医療小説として知られているけれど、それ以上に「生きていると、つい遠くばかり見てしまう自分」をそっと元の場所に連れ戻してくれる物語です。病を抱えた人が感じる孤独の描写は重いけれど、その中で交わされる言葉には、不思議と読んでいる側の背中までゆるむような温度があります。前に進めと急かされる世の中で、「いまいる場所を見てもいいんだ」と思わせてくれるのが、この本の効き方だと思っています。 個人的に救われたのは、人生の霧の中で迷うことそのものを否定していないところです。努力や才能の話ではなく、「大事なものは最初から自分の足もとにあったかもしれない」という視点をゆっくり置いていってくれる。夜明け前のような不安な時期にも、世界がちゃんと続いていくと思わせてくれる。派手さはないけれど、こういう本が長く手元に残るんだろうなと感じました。 いまの自分がどこに立っているのか見失いがちな人に、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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