
水滸伝 十三 白虎の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2007-10-19
この本について
仕事でも人間関係でも、「結果を出さなきゃ」と思うほど視野が狭くなって、勝ったのか負けたのか、自分でも判断がつかなくなる時があります。あるいは、強くあろうとして平気な顔をしながら、内心は弱さを抱えたまま動けなくなることもあります。北方版『水滸伝』の十三巻は、まさにその揺らぎの中にある人間たちの姿がやけに沁みました。 読者が保存していた抜粋には、「勝とうとして負けたと思う者」と「勝とうとせずに勝ち負けを超えていた者」の対比がありました。ここは、評価軸を自分の外に置きすぎている時にはっとさせられます。また、呼延灼が部下の死に泣く場面は、強さと弱さを切り離さない人物像としてとてもリアルで、弱さを隠すことばかり考えていた自分の肩の力が抜けていきました。そして、呉用や楊令のやり取りのように、「頭で考える戦」と「生きものとしての戦」の両面が描かれ、正解がない状況でどう判断するかのヒントをもらえます。 うまく割り切れないまま進んでいる人、強さと弱さの同居をどう扱えばいいか迷っている人には、静かに刺さる一冊だと思います。戦の物語なのに、読んだあとに残るのは、人がどう生きるかというごく素朴な手触りでした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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