
水滸伝 十二 炳乎の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2007-09-20
この本について
仕事でも人生でも、自分ではどうしようもない力に振り回される時がありますよね。理屈で進めたいのに、状況が噛み合わない。誰かの判断ミスに巻き込まれたり、責任だけが肩にのしかかったり。そんな時に踏ん張る理由がわからなくなって、静かにしんどくなる瞬間、僕もよくあります。 『水滸伝 十二 炳乎の章』は、そんな “割り切れない状況の中で生きていく人間” を、淡々と、でもものすごく誠実に描いています。例えば、自分の誤りで部下を死なせた呼延灼が、戦が終わってから噛みしめる後悔とか、借りを返すだけのつもりで人生を決めてしまう関勝の迷いとか。強さと弱さを同時に抱えた人たちが、自分を持て余しながらも動き続ける姿が、妙に現実に引き寄せてくるんです。誰も混乱していないように見えて、内心は悲しみでいっぱい、という描写も、仕事の現場を知っている人ほど刺さるはずです。 読んでいて感じたのは、無理に前向きにならなくてもいいけれど、自分がやれる範囲の一手を積み重ねていくしかない、という静かな実感でした。旗を持ち続けただけの兵に「よくやった」と伝える場面のように、自分では取るに足らないと思っている行動が、誰かを支えていることもある。逆に、うまくいかない時に諦める判断だって、潔さとして描かれる。 自分の弱さも、周りの不完全さも抱えたまま歩くしかない人に届く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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