
水滸伝 十五 折戟の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2007-12-14
この本について
仕事でも生活でも、うまくやりたい気持ちはあるのに、実際の行動がついてこなかったり、自分の器量の小ささばかり気にしてしまったり。理想の自分と現実の自分のあいだで、何度もため息が出ることがあります。最近、そんな気持ちを抱えたまま読んだのが『水滸伝 十五巻』でした。派手な戦の場面だけでなく、登場人物がそれぞれの「弱いところ」と向き合う描写が妙に胸に残ります。 たとえば、盗みを繰り返す少年が「ひねくれている自分をごまかすために盗む」と言いながら、うまく言葉にできず混乱していく場面。あの感じ、自分の本心をうまく扱えない時の不器用さに重なりました。また、五千を率いる立場になった男が「自分は千が限界」と正直にこぼすシーンでは、背伸びしなきゃいけない状況でも、腹の底では不安が消えないあの感じがリアルに描かれています。そして戦場では、ただ腕が立つだけではなく、仲間の死を背負いながら、それでも前に立つ人間の決意が淡々と描かれます。ここには英雄譚というより、覚悟を迫られる普通の人間の影がありました。 派手さよりも「弱さごと前に進む人間」を見たい人に刺さる巻だと思います。読んでいると、自分の不格好さに少しだけ居場所が生まれるような、そんな読後感がありました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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