
ミカドの肖像 (小学館文庫)
猪瀬直樹
小学館 / 2002
この本について
仕事でも生活でも、目の前の選択肢がどれも同じに見えてきて、何を基準に動けばいいのか分からなくなる時があります。今の日本社会そのものがどこか空虚で、でもその空虚を直視するのはちょっと怖い。そんな感覚を抱えたまま日々を過ごしている人は、きっと少なくないと思います。僕自身、そのひとりです。 『ミカドの肖像』を読んで驚いたのは、その空虚さの正体を「天皇制」「都市」「消費」という別々のテーマが、一本の線でつながったように感じたことでした。皇居の“中心なのに空っぽな空間”が都市の気配にどう影響しているのか。ブランドやレジャーといった消費の構造が、どんな歴史的な価値観の延長にあるのか。西武グループの奔放ともいえる土地戦略が、なぜあそこまで社会にフィットしたのか。どれも生活の実感とは一見遠いのに、読みながら「だから今の都市ってこう見えるのか」と腑に落ちる瞬間が何度もありました。 歴史の裏側や社会の構造を知ったからといって、明日すぐ行動が変わるわけではありません。でも、今いる場所がどんな文脈の上に立っているのか理解できると、選択の基準が少しはクリアになる気がします。特に、都会のスピードや消費の流れに流されがちな人ほど、足元の風景が違って見えるはずです。 自分の「立っている場所の根っこ」を知りたい人に、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
読書の順序
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