
「欲望」と資本主義 終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)
佐伯啓思
講談社 / 1993-06-20
この本について
仕事でも生活でも、気づけば「本当に欲しいもの」より、周りが選んでいるものに引っぱられて動いてしまうことがあります。自分で選んでいるつもりなのに、どこか落ち着かない。SNSを見たあとにふと虚しさが残る。あの感じに名前をつけられないまま過ごしている人は多いと思います。 この本が面白いのは、資本主義の話をしながら、実は僕らの日常の欲望のつくられ方をかなり具体的に描いてくれるところです。例えば、「欲望は他人のそれを模倣する」という指摘。自分の意思で動いていると思っていたのに、実際は情報の回路に乗って増幅された価値を追いかけているだけかもしれない。あるいは、市場経済が成り立つのは人の好みが安定している前提だけど、現代は好奇心がめまぐるしく移り変わるからこそ、僕らの不安も増幅される。そうした構造を知ると、モヤモヤの輪郭がやっと見えてくる感じがあります。 個人的に刺さったのは、「モノに託して自分を他人の眼差しにさらす」という部分で、自分の選択の背後にある“演じている感”を思い出してしまいました。資本主義を全面否定する本ではないのですが、今の世界で自分の足場を少し客観的に確かめたいときに、静かに効いてきます。 流されている感覚にうっすら疲れている人に、ちょうどいい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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