
空想オルガン 「ハルチカ」シリーズ (角川文庫)
初野 晴、丹地 陽子
この本について
仕事でも趣味でも、がんばっているつもりなのに結果がついてこない時ってありますよね。やる気を見せるポーズだけが増えて、本当に前に進めているのか分からなくなる。そこで少し肩の力を抜かせてくれたのが、「空想オルガン」を含むハルチカシリーズでした。 この本の魅力は、努力を美化しないところです。努力すれば報われるなんて甘いことは言わないし、弱さも迷いもそのまま描かれる。でも、それでも挑戦権だけは誰にでもある、という視点が静かに効いてきます。やると決めたら洗面器に顔を突っ込んで上げない、みたいな泥くささも、実際の日常にそのまま持ち込める感じがあって、妙に背中を押されました。 そしてもうひとつ刺さったのは、「大人になること」の描かれ方です。年齢でも肩書でもなく、自分が受け取ってきたものを次の誰かに渡していく、ただそれだけの行為に重心が置かれている。部活ものの物語なのに、自分の人間関係や仕事の向き合い方までじんわり変わるあたりが、このシリーズの底力だと思います。 部活経験がある人だけじゃなく、「ちゃんと努力したいけど空回りしている気がする人」に刺さります。僕も同じように迷っているので、無理に前向きにならなくていいという感覚をもらえた作品でした。
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