
好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)
舞城王太郎
講談社 / 2008-06
この本について
人を好きになった理由が自分でもよく分からなかったり、過去に置いてきた誰かの気配だけがずっと胸のどこかに残っていたり、言葉にできない思いがずっと自分の中でくすぶっていることってありませんか。大人になるほど整理できると思いきや、むしろ説明のつかない気持ちばかり増えていくような感覚があります。 『好き好き大好き超愛してる。』は、そういう“うまく言えないもの”を無理に整えず、そのまま掬ってくれる小説でした。読者が抜き出していた言葉を見ても、刺さっているのは恋愛そのものよりも、「愛するってこういう揺らぎごと抱えることなんだ」という実感や、「祈るように何かを願うしかできないときの無力さ」や、「物語を作ることがそのまま誰かを求める行為になる」という視点だと思うんです。読むと、自分の中にも似た感覚があったなと静かに思い出させられます。 この本が効くのは、気持ちを正解に照らし合わせて判断したい人ではなく、判断しきれないまま生きている自分をそのまま肯定したい人です。愛情と物語が実は地続きなんだという描き方は、過去の出来事の意味づけを少しだけ柔らかくし、祈りという行為に“無駄でも続けていいもの”という温度を与えてくれます。誰かを想い続けたことがある人、そしてその理由をうまく言葉にできなかった人には、特にじんわり刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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