
勝手にふるえてろ (文春文庫)
綿矢 りさ
文藝春秋 / 2012-08-10
この本について
人を好きになる気持ちって、思い通りにいかないことばかりですよね。自分はこんなに動かされているのに、相手にはその温度が届いていない気がするとか。思い出は大事にしたいのに、守ろうとした瞬間にどこか嘘っぽくなるとか。大人になっても整理できない感情の揺れが、ふとした日常で急にぶり返してくることってあると思います。 『勝手にふるえてろ』は、その「うまく扱えない心の動き」をごまかさずに描いてくれます。恋心が五感ごと世界を変えてしまう瞬間の強烈さとか、逆に、相手との距離が縮まらないまま平行線を歩いているような虚しさとか。読んでいる側も、自分の昔の感覚を思い出してしまうような、生っぽい温度があります。そして、好きだから受け入れたいのに全部は無理、でもどこかでほとんど受け入れてしまっている…そんな関係のリアルさにも、変に答えを押しつけてこないのがありがたいところです。 自分でも説明できない「好き」の正体に少し疲れている人に刺さると思います。恋愛小説ではあるけれど、誰かとの距離の測り方が分からなくなったとき、主人公の拗れ方や葛藤が、自分の感覚を整えるヒントとしてじわっと効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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