
獣の奏者 I闘蛇編 (講談社文庫)
上橋菜穂子
講談社 / 2009-08-12
この本について
人間関係の距離感がうまくつかめなかったり、周囲の期待どおりに生きるしかないように思えたり。気づくと自分の気持ちより“流れ”を優先してしまうこと、ありますよね。私も同じで、その窮屈さをごまかし続けていたときに読んだのが「獣の奏者 I 闘蛇編」でした。 この物語の中心にいるエリンは、誰かに合わせて生きるには敏感すぎて、でも突き放すほど強くもない子です。ユーヤンのように相手の悩みにそっと気づく人もいれば、噓で人を陥れる大人もいる。その中で、エリンは自分が感じた違和感を「なかったこと」にせず、どう向き合うかを少しずつ選び直していきます。読んでいると、他人の機嫌や役割に巻き込まれていた自分の感覚が、ちょっとだけほぐれるんです。 特に刺さるのは、清廉な気持ちを笑われるような空気の中で、それでも「獣を助けたい」という思いだけは手放さなかった場面。誰かの基準ではなく、自分の中の小さな違和感や願いを拾い上げてもいいんだと、静かに背中を押されるようでした。また、共感しながらも距離を置いて観察する姿勢が描かれていて、人との関わり方に迷ったときのヒントにもなります。 自分の気持ちを抑えがちな人、周りに合わせすぎて疲れてしまう人には、特に深く刺さる物語です。物語としても面白いのに、生き方の手触りまでそっと変えてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの45%が集中しています。
読書の順序
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