
絞首刑 (講談社文庫)
青木理
この本について
ときどき、「被害者と加害者、どちらの気持ちをどう受け止めればいいのか分からない」と立ち止まることがあります。裁判のニュースを見ても、制度の話を聞いても、自分の中で腑に落ちないまま終わってしまう感じです。正義って何なんだろう、というあのモヤモヤです。 『絞首刑』は、そこで止まってしまった思考を、少しだけ先に連れていってくれる本でした。死刑制度の仕組みや運用が淡々と描かれる一方で、遺族の苦悩、加害者の手紙、刑務官の後悔など、表に出づらい声が丁寧に拾われています。制度の「正しさ」の話ではなく、誰の立場にも割り切れなさがあり、その揺れがページのあちこちに詰まっています。 特に、被害者遺族が世間の“こうあるべき”と自分の気持ちの間で追い詰められていく場面や、刑務官が執行の光景を何年経っても夢に見る描写は、正義という言葉では片づけられない現実をまざまざと見せてきます。データや制度の経緯が挟まれることで、「感情だけでも、制度だけでも語れない」という当たり前のことが、ようやく自分の中に落ちてくるような読後感でした。 一度でも「死刑制度について、表に出ない当事者の声を知りたい」と思ったことがある人には静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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