
日本はなぜ開戦に踏み切ったか―「両論併記」と「非決定」―(新潮選書)
森山優
新潮社 / 2012-06
この本について
仕事でもプライベートでも、組織の意思決定がどうしてこんなに迷走するのか…と考えることが多い人には、昭和前期の日本の政治構造が妙に他人事に思えなかったりします。役割が曖昧で、誰が最終責任を負うのかもはっきりしないまま物事が進んでいくあの感じ。今回の抜粋を読んでいても、「これ、昔の話じゃなくて今の自分の周りにもあるな」と思った方は多いはずです。 この本は「なぜ日本が開戦に踏み切ったのか」を語りながら、実は組織が判断を誤るときに何が起きているのかを丁寧に示しています。首相に任免権がなく、陸海軍もそれぞれ天皇に直結し、会議で決めたはずの方針が法的根拠を欠いたまま進んでいく構造。読んでいると、失敗は“暴走した誰か”ではなく、“誰も統合できない仕組み”から生まれることがわかってきます。さらに、政治の中心が空白になったまま誰も埋めきれなかった事実や、海軍が対米戦を組織的利害として受け止めていた背景など、単純な善悪では説明できないリアルさがあります。 全体を通して感じるのは、「意思決定の場が複数あって、誰も全体を見られないと、組織は自然に危うい方向へ転がる」ということです。これは歴史の話に留まらず、今の自分たちの職場やチームにも重なるところが多いと思います。 歴史を“責任の所在探し”ではなく、“構造の問題”として見たい人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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