
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店 / 2006-06-30
この本について
人づきあいのなかでふと、「自分はどんな基準で誰を好きになってきたんだろう」と立ち止まる瞬間ってありませんか。たとえば、外から見える“わかりやすい魅力”に惹かれてきたけれど、結局それは自分の弱さや不安とつながっていたんじゃないか…と気づいてしまうような、ちょっと苦いモヤモヤです。 この本を読んだとき、自分のその感覚が少し整理された気がしました。 物語のなかで描かれる「男は顔よ」と言い切る若さのまっすぐさは、ただの軽さではなくて、自分自身をどう扱っていいかわからない年頃の防御でもあるんですよね。そこに気づくと、過去の自分を責めるよりも、あの頃そうするしかなかった理由を受け止められるようになります。また、七竈の木が“七回燃やしても残る”という言い回しは、強さというより、しぶとさとか、生き残った後の静かな重みのほうに近い。人の心の回復って、派手な飛躍じゃなくて、こういう残り火みたいなものかもしれないな、と視点が少し変わります。 登場人物の「可愛そうな大人」たちも、決して特別ではなく、ひとつ間違えば自分もそちら側に立っていたかもしれない存在です。だからこそ、彼らを眺めながら、自分の生き方の“癖”みたいなものに気づけます。この本が効くのは、立ち直りたいわけじゃないけれど、今の自分の輪郭をそっと確かめたい人です。 派手な救いはないけれど、読むと静かに体温が戻るような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの100%が集中しています。
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