
ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学 (中公新書)
本川達雄
福音館書店 / 199404
この本について
最近、自分の考え方がどこか「人間中心」に寄ってしまっている気がして、判断がぶれることがあります。仕事でも生活でも、目の前の事実をどう捉えるかで迷う場面って多いですよね。そんなときに、この本が少し視点を広げてくれました。生物のサイズという、一見すごくシンプルな軸から世界を見直すと、当たり前だと思っていた前提がふっと揺らぐんです。 たとえば、進化に方向性があるように見えてしまうのは、一部の事実だけをつまんで考えてしまう癖が人間にあるからだと著者は指摘します。サイズが大きい動物が遅れて出てくる理由も、「大きいほうが強いから」ではなく、そもそも新しい系統は小さい生き物から生まれやすい、という実に地に足のついた説明がある。この“思い込みを外す”感覚が、日常の判断にもじわっと効いてくるんです。 そして何より、自分たち人間のサイズ感すら相対化されるのが面白いところでした。島の環境だと大きいものが小さくなり、小さいものが大きくなるという現象も、人間社会の構造に通じる部分があるし、日本人のエネルギー消費が「ゾウ並み」だという話は笑いつつも、どこか背筋が伸びます。 自分の常識がどこから来ているのか気になる人、視点をちょっとずらしたい人にはしっくりくる一冊だと思います。
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