
楊令伝 十四 星歳の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2012-07-25
この本について
仕事でも私生活でも、あと一歩踏み出す場面で、自分が何を守りたいのか見えなくなることがあります。責任を抱えながらも不安は消えず、仲間に頼っているつもりが、実は自分だけが置いていかれているような感覚になることもあると思います。僕もよくそこで足が止まります。 『楊令伝 星歳の章』の抜粋を読んでいると、そういう迷いの正体が、意外と「覚悟の大きさ」ではなく「自分の小ささとどう折り合うか」にあるんだと気づかされます。死地に向かう面々は、決して不安のない英雄ではなく、むしろ小心で、迷いだらけで、それでも自分の戦場だけは見失わない。例えば、志を穢せると思うのか、と静かに返す人物の弱さと強さの同居や、会議で少しずつ結論が形になっていく空気感、そして「見ようとしなかった」と仲間に指摘されてしまう場面。どれも、僕らの日常の縮図のように感じます。 自分の仕事は地味で、大したことができていないと思いながら、それでも「守りたいもの」がある人には、この巻は沁みると思います。立派な答えが示されるわけではありませんが、弱さを抱えたまま踏み出す姿を見ていると、自分の迷いも少しだけ動き出す感覚があります。こんな人に刺さるはずです。自分の“戦場”がどこにあるのか、まだ言葉にできないまま働いている人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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