
大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)
オルテガ・イ・ガセット and 神吉敬三
岩波書店 / 2020-04-16
この本について
最近、自分が何に寄りかかって生きているのか分からなくなることがあります。便利さに囲まれているはずなのに、判断の軸はどこか曖昧で、気づけば「なんとなく流されているだけかもしれない」と不安になる。そんなモヤモヤを抱えたときに手に取ったのが『大衆の反逆』でした。 この本が効いたのは、まず「文明は自然物じゃない」という視点を突きつけられたことです。空気のように思い込んでいた前提が、実は誰かの努力と思想の積み重ねで保たれている。その事実を一度ちゃんと見るだけで、自分が何に無自覚だったのかがはっきりします。さらに、大衆とは労働者階級のことではなく「平均人」のことで、利口になったはずなのに判断を自分で引き受けられない状態にある、という指摘も刺さりました。専門化が進むほど全体像を失い、気づけば自分の意思だと思っていた判断がただの惰性だった、というあの感覚に心当たりがある人は多い気がします。 また、歴史の転換期は外側の変化ではなく「内面的な変化」から始まるという視点も、日々の選択をどう扱うかを考え直すきっかけになりました。何か大きな行動をしなくても、関心を向ける対象や判断の根拠を少し変えるだけで、自分の立っている場所が変わる。そんな静かな実感をくれます。 流されている感覚にうっすら危機感がある人には届くと思います。
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