
人はなぜ「美しい」がわかるのか (ちくま新書)
橋本治
筑摩書房 / 2002-12
この本について
仕事でも趣味でも、ものを見るたびに「これは本当に良いのか? それとも自分の勘違いなのか?」と迷うことが多くないでしょうか。特に、美術や文章、誰かの振る舞いにふっと惹かれた時、その理由を他人の言葉で説明できないと不安になる。分かったような気もするし、分からないまま受け流してしまう時もある。そんなモヤモヤをずっと抱えてきた身として、この本はかなり腑に落ちました。 橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』は、美しさを「正解」として語る本ではなく、「なぜ自分はこう感じたのか」を丁寧に扱うための視点をくれます。まず、感動は他人の合理的な説明より先にやってくるものだ、という指摘がとても救われる。理由づけよりも、まず自分の感情が立ち上がること自体に価値があるという視点は、「分からないものを分からないまま排除しがち」な癖を緩めてくれました。さらに、美しさは恋に近いという話も印象的で、理屈より先に「これは自分に必要だ」と直感してしまう瞬間が、実はけっこう大事なんだと気づかされます。 自分の感性が「正しいかどうか」ではなく、「どう扱うか」で迷っている人に刺さる本です。感じてしまったことを雑に片付けず、もう少し信頼してみてもいいのかもしれません。
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