
ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)
杉山春
筑摩書房 / 2013-09
この本について
ときどき、頑張っているつもりなのに「ちゃんとできていない自分」を直視できなくなることがあります。弱みを見せたら終わりな気がして、誰にも助けを求められないまま抱え込み、気づけば身動きが取れなくなる。そんな感覚を知っている人は多いと思います。 『ルポ 虐待 大阪二児置き去り死事件』は、そこにある“なぜそうなってしまうのか”を外から責めるのではなく、内側の崩れ方を丁寧に描きます。読みながら、責任感の強さが逆に人を追い詰める瞬間や、「良い親であろうとしすぎる」ことで助けを呼べなくなる構造が、他人事ではなく自分にも連なる問題として見えてきます。おしゃれが鎧になってしまう場面や、恥ずかしさが人を沈黙させる描写は、表面だけでは分からない心の使い方を静かに突き刺してきます。 この本が効くのは、誰かを“判断”したい時ではなく、「どうして助けを求められない人が生まれてしまうのか」を知りたい時です。母子密着が自立を奪うという指摘や、支援があるだけで表情が変わる様子など、社会の手の届き方が変われば未来も変わるのだと実感します。読み終えた後、誰かの行動を単純化して理解しようとするクセが、少しだけ揺らぎます。 刺さるのは、「弱さの扱い方に悩んでいる人」。自分のこととして読み始めてしまう一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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