
最貧困女子
鈴木大介
幻冬舎
この本について
ときどき、自分の見えている世界がどれだけ狭いのか不安になります。たとえば「貧困」と聞いても、同じ収入でもやれている人がいるなら努力不足なんじゃないか……そんな空気がどこかにあって、自分も無意識にその枠で考えていたかもしれない。けれど、心のどこかで「それだけで説明できるわけがないよな」とモヤモヤも残るんですよね。 『最貧困女子』を読むと、このモヤモヤがかなり解けます。低所得そのものより、「家族・地域・制度」という三つの縁が断たれているかどうかが、本当に人を追い詰めるんだと気づかされました。数字の問題じゃなく、人間関係が抜け落ちたとき何が起こるのか。腹を減らした子どもを見ても誰も声をかけない社会で、「自己責任」という言葉がどれだけ雑に使われているのか。読み進めるほど、議論からこぼれ落ちていく“本当に助けを必要としている人”の存在が立ち上がってきます。 もうひとつ大きかったのは、支援の側にいる人たちが「良かれと思って」やっていることが、当事者にとっては自由を奪う行為として受け取られる現実です。頼ったら元の地獄に送り返されるなら、そりゃ行政を避けるよな、と。支援には“正しさ”より“使いたくなるかどうか”が欠かせない、という視点は、ふだんの人間関係にも通じるところがありました。 誰かを安易に裁いてしまいそうになるとき、その手を一度止めたい人に刺さる本です。自分の物差しの限界を静かに突きつけられる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの13%が集中しています。
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