
水晶の鼓動 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)
麻見和史
講談社 / 2014-05-15
この本について
仕事で「無理と言えない状況」に押し込まれたとき、なんとなく胸がざわつく瞬間ってありますよね。自分の裁量じゃどうにもならないのに、期待だけは積み上がっていく感じ。今回の『水晶の鼓動』の抜粋を読んでいて、まずそこに反応している人が多いんじゃないかと思いました。警察という厳格な組織の中で、命令は絶対で、できませんとは言えない。その息苦しさが、私たちの日常にもどこか重なるからです。 ただ、この作品はその重さをただ描くだけではなく、登場人物の視点がふっと変わる瞬間を丁寧に拾ってくれます。手代木管理官の叱咤が、ただの圧ではなく「誰かの命を背負う意識」から来ていたと気づくところ。あの場面は、仕事の厳しさが人を追い詰めるだけじゃなく、人を育てることもあるんだと少しだけ肩の力が抜けるような感覚があります。また、極限状態の現場だからこそ、人間関係の誤解がほどけていく。その描写が妙にリアルで、読後に自分の職場の人間関係をちょっと見直したくなるんですよね。 連続爆破事件と「赤い部屋」という異様な現場が続く緊迫感の中で、登場人物たちの迷い方や立ち向かい方がきちんと描かれているので、ただのミステリではなく、働く自分の視点を少しだけ整えてくれる作品です。組織の中で迷いながらも踏ん張っている人には特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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