
新・人間革命11
池田大作
この本について
仕事でも生活でも、判断を迫られたときに「正解がわからないまま動くのが怖い」という感覚、けっこうあると思います。人を巻き込む決断ならなおさらで、迷ったまま時間だけが過ぎていくこともあります。僕自身も、気持ちは前に向いているのに、肝心の一歩が出ない時期が長くありました。 『新・人間革命11』を読んで刺さったのは、登場人物たちが置かれている状況が、規模こそ違えど「迷いながら、それでも動く」ことの連続だったことです。雨の中で行事の中止を検討する場面では、勇気や気合よりもまず「人の健康を最優先する」という、ごく当たり前の視点が示されます。逆に、戦乱のベトナムに残ろうと決めた夫妻の話からは、「恐れが消える瞬間」よりも、「目の前の誰かを守ろうとした行動」が人を動かすという現実味を感じました。信心や祈りについて語られる部分も、抽象的な精神論というより、日々を立て直すための“手すり”として描かれています。 結局この本は、迷いが消える魔法をくれるわけではありません。でも、迷ったまま動いていくときの足場を、いくつか具体的な場面を通して見せてくれます。特に「責任のある立場だけど、人としての優先順位を見失いたくない人」には、静かに効いてくる一冊だと思います。
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