
農山村は消滅しない (岩波新書)
小田切 徳美
この本について
都市に住んでいると、地方のニュースを見たときに「結局、どこも人が減っていくんだよな…」みたいな、言いようのない諦めが出てきませんか。移住の話題も一時的なブームに見えて、本当に現場で何が起きているのかは見えにくいままです。僕もずっとそのモヤモヤを抱えていました。 『農山村は消滅しない』を読んで驚いたのは、これまでの「過疎=一本調子の衰退」というイメージが、細かく見ていくとまったく当てはまらない地域があるという点です。山間部や離島などの“田舎の田舎”で子どもが増えている地域が実際に存在し、若者の移住も20年以上続く長い潮流だった、と冷静なデータで示されます。特別な成功例を持ち上げるのではなく、「なぜそこだけが動いたのか」を、合併の歴史や産業構造まで含めて説明してくれるのがありがたいところでした。 読みながら、「地方の未来」を語るときの白黒思考がほどけていく感じがあります。消滅か復活か、ではなく、地域ごとの小さな変化や複数の生き方が並んで存在している。その視点に立つと、都市に住む自分の関わり方も、極端な移住か観光かの二択ではなくていいんだな、と素直に思えてきます。 地方の行方を悲観しすぎていた人や、移住・地域づくりに関心はあるけれど踏み出し方が分からない人には、静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの71%が集中しています。
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