
シャイニング(上) (文春文庫)
スティーヴン・キング、深町眞理子
文藝春秋 / 2008-08-10
この本について
ときどき、自分では大したことないと思っている不安が、ふっとした瞬間に強く膨らむことってありませんか。子どものころに見た怖い絵を思い出すような、説明しづらいざわつきです。大人になれば慣れると思っていたのに、環境が変わったり、仕事が詰まったりすると、あの曖昧な恐さがまた顔を出してくる。そんなとき、「場所や状況が人の心をどう変えるのか」という視点を持てると、少し呼吸がしやすくなる気がします。 『シャイニング(上)』を読んでいて感じるのは、恐怖そのものより、「人が環境にゆっくり押しつぶされていく過程」の生々しさでした。ダニーが“絵は害を加えないってわかってる”と言いながらも怯える場面は、理屈では処理しきれない不安の正体に触れているようで、妙に胸に残ります。そして、非人間的な場所が人を怪物にしていくという一文は、「自分が最近うまくいかないのは、性格の問題だけじゃないのかもしれない」と思わせてくれる。環境要因を切り離して考えずに済むだけで、少し肩の力が抜けるはずです。 仕事や家庭で、知らないうちに心がすり減っている気がする人にとって、この物語はホラーというより、“自分を取り巻く空気を見直すための物語”として読めると思います。怖さだけを求める人よりも、今の自分の揺らぎをちょっと外側から確かめたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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