
ロスト・ケア (光文社文庫)
葉真中 顕
この本について
仕事でも家庭でも、「これって本当に正しい選択なんだろうか」と立ち止まる瞬間ってありますよね。自分では善意でやっているつもりでも、どこかで誰かの価値観とぶつかったり、制度の限界に押しつぶされそうになったり。正しさを言い切れない世界で生きていると、モヤモヤだけが積み上がっていきます。 『ロスト・ケア』は、そのモヤモヤを強引に解消してくれる本ではありません。ただ、人が「善」を求めるのはなぜかとか、制度の歪みが個人の感情をどれだけ追い詰めるのかとか、普段どうしても目をそらしがちな部分を丁寧に見せてくれます。介護がただの“身体の手伝い”ではなく、感情をすり減らす仕事だという描写は痛いほどリアルで、散歩の付き添いが介護と認められないシーンなんかは、制度の隙間に落ちる人たちの姿がそのまま重なります。 一方で、作中の「なぜ悪をなしてはいけないのか?」という問いは、人の中にある善性を示すものとして描かれていて、読みながら自分の内側にも静かに目が向いていく感覚がありました。誰かの行動を安易に断じられない状況に日々向き合っている人ほど、この揺れは響くと思います。 正しさに疲れてしまった人、制度や常識の“隙間”に置かれているような感覚を抱えている人には、特に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
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