
ムハマド・ユヌス自伝(上) (ハヤカワ文庫NF)
ムハマド ユヌス, アラン ジョリ, and 猪熊 弘子
早川書房 / 2015-09-08
この本について
仕事で数字や理屈を追いかけていると、ふと「自分は現実をちゃんと見られているのか?」と不安になる瞬間があります。机上の戦略は完璧なのに、目の前の生活や小さな行動には何も変化が起きていないあの感じです。僕自身、知識ばかり積み上げて足元を見落とすことがよくあって、そのたびにモヤモヤが残っていました。 『ムハマド・ユヌス自伝(上)』を読んで刺さったのは、彼がまず“自分の足で村に入り、いまそこにいる人の生活をまるごと見る”ところから始めている点でした。理論より生活、前提より現場という姿勢がとにかく徹底していて、「一人でもいいから本当の暮らしを知る」という覚悟が、その後のマイクロクレジットに繋がっていく。机の上で考えると見えないものが、土埃や騒音の中では当たり前の前提として立ち上がってくる感覚がありました。 また、既存の銀行の「貧しい人は信用に値しない」という思い込みに対して、彼は“全く構造的な問題であって、個人の問題ではない”と気づいていく。ここが強いです。目の前の人ではなく、仕組みそのものが歪んでいると気づけると、自分の仕事や組織の判断にも違う光が当たる。自分の考え方がほぐれる感覚がありました。 日常の延長線で、世界の構造や自分の視点を少し揺らしてみたい人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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