
不思議の国のアリス+鏡の国のアリス 2冊合本版 (角川文庫)
ルイス・キャロル、河合 祥一郎
KADOKAWA / 202211
この本について
最近、自分の考えが正しいのか間違っているのか、急にわからなくなることがあります。昨日まで普通だったのに、今日はまったくしっくりこない。そんな「自分の感覚がズレている気がする瞬間」って、誰でもありますよね。 『不思議の国のアリス』の抜粋を見ていると、まさにその感覚に寄り添ってくれる場面が多いんです。チェシャ猫に「ここじゃあ、みんな気がくるってるんだ」と言われるシーンなんかは、自分だけがおかしいんじゃなくて、環境のほうがそもそも変なんだと気づかせてくれます。何かに適応できないとき、原因を自分にだけ求めなくていい、という視点が持てるんですよね。 もうひとつは、アリスが「きのうまではいつものとおりだったのに」と戸惑う場面。あれって、仕事で役割が急に変わったり、生活のリズムがずれたりしたときの自分そのままだなと思います。変化に慣れるまでのあの落ち着かなさを、むしろ自然なものとして扱ってくれる感覚があります。 それから、海ガメもどきの長い沈黙に付き合うアリスの姿勢も好きで、話の核心にたどり着くまでの“待つしかない時間”を肯定しているように感じました。答えが見えない時期でも、それだけで結論を急がなくていいと思えるんです。 自分のズレや迷いをそのまま抱えて歩いている人に、静かに効いてくる物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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