
東京プリズン (河出文庫)
赤坂真理
河出書房新社 / 2012-07-24
この本について
最近、人と話していても「この人は昔の価値観のまま止まってるな」と感じてしまったり、逆に自分自身もどこかの時代で固まってしまっているんじゃないか…とふと不安になることがあります。誰かに影響されて染まった部分と、本来の自分の輪郭がどこで分かれるのか、考え始めると少ししんどいテーマですよね。 『東京プリズン』の抜粋が刺さる人は、おそらくそんな戸惑いに既視感があるはずです。「人は、自分が吞みこんだものになる」という一文は、環境や関係性を否定するというより、そこに巻き込まれながらも、それでも自分の感覚を探していく主人公の姿と重なります。この小説が効いてくるのは、何か正解を示すからではなく、時代や人間関係に押し流される感覚を、いったん物語という距離のある場所で見つめ直せるところにあります。 特に、時代の価値とともに逝ってしまうような人物の描かれ方は、「ああ、自分も誰かの価値観に無自覚に乗ってしまうことがあるな」と静かに気づかせてくれます。過去の大きな出来事を背景にしつつも、読んでいると、自分の生活の中での小さな違和感に置き換えて考えられる瞬間が何度もありました。人間関係で自分の立ち位置が揺らいでいる人ほど、物語の中で自分の感情が整理されていく感覚があるかもしれません。 こんな人に刺さると思います。誰かの価値観に少し疲れてしまって、自分の足で立ち直したいと感じている人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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