
生きがいについて――神谷美恵子コレクション
神谷美恵子
この本について
生きていて「このままでいいのか」とふと立ち止まる瞬間、ありますよね。仕事も生活も大きな問題はないのに、どこか芯が抜けたような感じがする。しんどい状況にあっても、抜け出すでもなく、受け入れるでもなく、ただ愚痴だけがたまっていく。そんな自分に気づくと、余計に落ち込んだりします。 神谷美恵子さんの『生きがいについて』は、そういう曖昧なモヤモヤに、少しだけ光を当ててくれる本でした。逃げ道を考えたうえで受け入れたなら、それはもう「宿命」ではなく自分の選択だ、という視点には、責められている感じがなくて救われますし、「生きがい感の敵は愚痴」という指摘は、日常のどの場面にでも持ち込めるリアルさがあります。また、生きがいとは特別な成果よりも、前に進んでいると感じられるかどうか、という説明が、自分の行動の解像度を上げてくれます。 外から見て成功していても、本人が「高揚」を感じていなければ意味がない、という話も印象的で、誰かの基準ではなく、自分の感覚を取り戻すことの大事さを静かに教えてくれます。習俗に流されやすい日常で、「本当はどう感じているのか」を確かめたい人に向いている本だと思います。 生きがいという大げさな言葉を、いまの生活の中に引き戻して考えたい人に。
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