
小松左京短編集 東浩紀セレクション (角川文庫)
小松 左京 and 東 浩紀
KADOKAWA
この本について
仕事でも日常でも、いろんな立場の人の考えを「全部わかろう」として疲れてしまう時があります。あるいは、歴史や社会の話を聞くときに、どこまで自分の感覚を持ち込んでいいのか迷うこともあると思います。僕自身、その距離の取り方がずっと下手で、相手を理解しきれない罪悪感みたいなものを抱えたまま過ごしていました。 小松左京の短編を東浩紀が選んだこの一冊は、その「距離感」に対する視点をふっと変えてくれます。たとえば、人間同士の議論が「完全に理解し合う」前提ではなく、各自のくせある思考が部分的に共鳴するだけで前に進む、という描写があります。これを読むと、理解のズレは欠陥ではなく、人間という“非・普遍”的な存在の前提なんだと思えてくるんです。また、豊臣政権が崩れていく細部の描写や、本土決戦という仮想史のリアリティに触れていると、「歴史をひとつの価値観で裁く」窮屈さがすっと緩んでいく感覚があります。状況がどう見えていたのか、誰もが自分の文脈で判断していたのだと想像できるようになる。 大げさに言えば、他者や過去に向けるまなざしが少しだけ柔らかくなる本です。特に、他人の思考をうまく受け止められずに悩む人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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