
失われた世界 (光文社古典新訳文庫)
アーサー・コナン・ドイル、伏見 威蕃
東京創元社 / 2020-07-31
この本について
やりたいことはあるのに、最初の一歩だけがどうしても出ないまま時間がたってしまうことがあります。きっかけ待ちのまま日々が流れていく感じ、ぼくもよくあります。でも本当に外から合図が降ってくることって少なくて、気づくと「動けない自分」に理由づけばかりしてしまうんですよね。 『失われた世界』を読んでいると、その停滞が少しやわらぎます。登場人物が「きっかけがない」と言い張る場面で、相手がさらっと「自分でつくりだすのよ」と返すところがあって、そこで気持ちが動く人は多いと思います。物語の中では、彼らは本当に危ない目にも遭うし、現実感がゆらぐほどの体験もします。でも、恐さを抱えたまま前に出たからこそ、最後に観客がステージへ雪崩れこんでくるような、あれだけの景色を見られたんだろうな、と腑に落ちるんです。 この物語が効くのは、「大冒険」に憧れているわけじゃないけれど、小さくても自分の選択でなにかを動かしてみたい人だと思います。大げさな教訓はありませんが、行動の前にあるあのモヤモヤを、登場人物たちのやり取りが自然とほぐしてくれます。読んでいるあいだだけでも、自分の中に薄い光が差すような感じがあるので、足が止まりがちな時期にそっと手に取るといい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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