
小説 渋沢栄一(上) (幻冬舎文庫)
津本陽
幻冬舎 / 2007-02-09
この本について
最近、仕事でも生活でも「判断の軸がぶれる」と感じることが増えていませんか。知識は集めているつもりでも、いざ場面に立つと迷うし、時間の使い方ひとつとっても「これでいいのかな」と落ち着かない。僕も同じで、そんな時に読み返したのが『小説 渋沢栄一(上)』でした。 この本の面白いところは、偉人の美談ではなく、栄一が若い頃から周囲の人や環境に揉まれながら、自分の判断軸をつくっていく過程が丁寧に描かれているところです。たとえば、尾高藍香に読書の“暗記ではなく考える”姿勢を叩き込まれた場面や、フランスで資本主義の仕組みに触れ、価値観ごと揺さぶられる場面。どれも即効性のある教訓ではないけれど、「ああ、人ってこうやって少しずつ視野が広がるんだな」と、読んでいる自分の思考もストレッチされる感覚があります。 もうひとつ個人的に刺さったのは、栄一が場数を踏む中で、年齢や立場に関係なく交渉し、必要な場面でしっかり意見を出していく姿です。若造扱いされても引かず、かといって無闇に突っ張るわけでもない。そのバランス感覚が、いまの僕らの職場でもそのまま必要になる局面が多いなと思いました。 歴史小説というより、「自分の判断軸をつくりたい人のための成長物語」に近い一冊です。仕事で迷う日が多い人ほど、静かに効いてくると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの49%が集中しています。
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