
UXの時代 ― IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか
松島聡
この本について
仕事をしていると、気づけば「手段のための手続き」に一日を使ってしまうことがあります。ユーザーの顔が見えなくなり、何のために作っているのか分からなくなるあの感じ。僕自身もよくそこに迷い込むのですが、この本を読むと、そのモヤモヤの正体が産業そのものの構造にあることが腑に落ちました。 特に刺さったのは、業種の枠よりも体験の方が先にあるという指摘です。ユーザーはモノを所有するためにお金を払っているわけではなく、得たい価値のために行動している。そう考えると、自分の仕事の見方が一段変わります。また、大企業が支配する垂直型の構造から、個人が主導権を持つPtoPや水平協働の流れへのシフトは、現場で感じていた違和感を説明してくれるものでした。なぜこれまでの「効率化」だけでは届かないのか、その理由が整理されます。 さらに、企業の内部にいてもできる小さな変化のヒントがあるのがありがたいところで、社内のリソースをシェアする例などは、明日からの動き方を考えるきっかけになりました。結局のところ、UX基準で仕事を再設計するとはどういうことかを、現実的なスケールで示してくれる本です。 今のやり方に手応えがなくなってきた人に、静かに効く一冊でした。
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