
「自分には価値がない」の心理学 (朝日新書)
根本 橘夫
この本について
「ちょっとしたことでテンパる」「頼まれごとがあると、自分が評価されていない気がする」「人と話すとき、相手が求めている反応ばかり考えてしまう」。こういう感覚って、理屈では大人になったはずなのに、心だけ子どものまま取り残されているような居心地の悪さがあります。僕自身、仕事で詰められたときに昔の無力感が一気に戻ってくる感じがずっと抜けませんでした。 この本が助けてくれたのは、無価値感を“考え方のクセ”として矮小化せず、背景にある発達段階の話として丁寧に説明してくれたところです。無力さを感じるとき実際に心の中で何が起きているのか、どんな場面で過去の感覚が立ち上がるのかが具体的に描かれていて、「あ、これ自分にもあったな」と静かに腑に落ちていく感覚がありました。また、感情が歪むと努力そのものが苦しみに向かってしまう話や、相手への感謝が自分の価値感覚を立て直す手がかりになるという視点は、無理に前向きになろうとしなくても日常で試せるもので、生活にそのまま持ち込めました。 自分に自信がないというより、「評価されないと存在していい気がしない」と感じてしまう人にとくに響くと思います。自分を変える方法を教えてくれるというより、なぜ今の自分がそうなっているのかを静かに明かしてくれる本でした。
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