
どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻行人
講談社 / 2017-02-15
この本について
仕事でも日常でも、いろんな出来事を整理しようとしても、時間の前後関係がぐちゃっとして「結局どうなってたんだっけ…」と混乱することがあります。自分の記憶に自信がなくなる瞬間もあって、ちょっと落ち込むあの感じ、わりと多いと思います。 『どんどん橋、落ちた』を読んでいて印象的なのは、読者が保存していた抜粋がほとんど“時刻”に関するものだったことです。午後二時四十分の叫び声、三時半の戻り、移動時間のわずかな差。その細かい時間の積み重ねが、物語全体の構造を少しずつ浮き上がらせていきます。読みながら「この順番で本当に成立するのか?」と自分の中で地図を描き直していく感覚があって、これはミステリというより、認知のトレーニングに近い体験でした。 こういう本に触れると、日常でも「なんとなくの印象」ではなく、一度立ち止まって順番を並べてみるだけで見えるものが変わるんだな、と実感します。人の行動も、自分の判断も、時間の流れに置き直すだけで理解しやすくなる。大げさではなく、その小さな手つきが生活に効いてくると思います。 物事を「時系列で整えるのが苦手だけど、本当は得意になりたい人」に特に刺さる短編集です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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