
マチネの終わりに(文庫版) (コルク)
平野啓一郎
コルク / 2019-06-06
この本について
仕事や日常が慌ただしい時期って、ふと「自分は今どこに立っているんだろう」と不安になることがあります。先のことを考える余裕もないのに、過去の選択だけがやけに思い出されてしまう感じ。頭では「前に進まなきゃ」と思っても、気持ちが追いつかないまま時間だけが減っていくようで、妙に焦りませんか。 『マチネの終わりに』を読み返していて、抜粋された部分を見ると、多くの人が惹かれているのは“時間の感覚が揺らぐ瞬間”なんだなと感じました。未来が過去を変えてしまうというあの会話や、今さら伝えても何も変わらないかもしれない思い、それでも心だけは前に進もうとする姿。登場人物の迷いが、自分の日常の迷いと同じ温度で描かれていて、読んでいる側の呼吸が少し整ってくるんです。 この作品が効くのは、綺麗ごとではなく、具体的な「揺れ」を丁寧に扱ってくれるところです。 過去に囚われたまま現在を維持しようとする苦しさとか、誰かと一緒にいる時の自分を好きでいられるかどうかという小さな違和感とか、疲れ切った感覚の中でもう一度好きだったものに触れた瞬間の温度とか。私自身、読みながら「あ、こういうところで自分は立ち止まってたのか」と少しだけ掴めた気がしました。 静かに気持ちを立て直したい人、あるいは「過去・現在・未来」を同時に抱え込んで疲れてしまっている人には、じんわりと刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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