
吹上奇譚 第二話 どんぶり (幻冬舎文庫)
吉本ばなな
幻冬舎 / 2020-09-08
この本について
最近、毎日きちんと生きているつもりなのに、自分の時間がどこか他人事みたいに感じることがあって。未来の選択も「どっちが正解なんだろう」と考えるほど、余計にわからなくなる。そんなモヤモヤの中にいるときに、この『吹上奇譚 第二話 どんぶり』の抜粋が何度も保存されている理由が、読むほど腑に落ちました。 この物語は、大きな事件が起きるわけではないのに、日々の輪郭を取り戻す感覚がじわっと戻ってくるところが効きます。たとえば「まるで同じ毎日でも、少しずつ違う」と気づく視点は、停滞しているように見える時間にも自分のために動いている流れがあるんだと、やわらかく教えてくれます。また、「未来はそのときの自分が考えてくれる」という言葉は、いま無理に答えを出そうとして固まっていた心をほぐしてくれるし、「判断を信頼できる自分を育てる」という地に足のついた姿勢も現実的で安心できました。さらに、人との関係や別れをどう自分の中で扱うかについての描写がとても丁寧で、失った人を“亡霊”にしないために自分がちゃんと生きる、という視点は、過去の痛みを抱えてきた人ほど静かに響くと思います。 静かだけれど確かに背中を押してくれる本です。過去と未来の間で立ち止まっているように感じている人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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