
ミトンとふびん (幻冬舎文庫)
吉本ばなな
幻冬舎 / 2024-02-08
この本について
最近、人との距離の取り方がわからなくなることがよくあります。親との関係も、恋人との関係も、仕事での立ち位置も、うまくいっているのか判断できなくなる時期ってありますよね。元気なふりをしていても、実際は感情を省エネ運転にしてなんとか日々を回しているような感じで。 『ミトンとふびん』は、そんな「自分の輪郭が揺らぐ感じ」に妙に寄り添ってくれる物語でした。母の死を見送りながら、自分がどれだけその愛情に支えられていたのかを思い出していく主人公の姿が、読者の抜粋にもよく表れています。強く見える人ほど、本当は壊れやすい部分を丁寧に扱って生きているんだなと感じさせられました。そしてもう一つ印象的なのは、自分を大切にしてくれる相手と出会った時の「距離の置き方」の描写です。相手をコントロールしない、でも冷たくもしない、そのバランスに救われる場面がいくつもあります。 読んでいて思ったのは、この本は大げさに励ましてくるタイプではなく、むしろ「いまの状態のままのあなたで大丈夫だよ」と横に座ってくれるような存在に近いということです。生きることが積み上げと喪失の繰り返しだと理解している人ほど、この静かな視点に共感するはずです。 誰かを大事に思うことに少し疲れている人、自分の生活の温度がよくわからなくなっている人には、とくに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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