
渇愛 ~頂き女子りりちゃん~
宇都宮直子
この本について
最近、誰かの言動に「なんでこんな極端な行動に走るんだろう」とか、「この人は何を拠り所にしてるんだろう」と、うまく説明できないモヤモヤが残ることが多いです。相手の価値観が自分の前提とまったく噛み合わないと、判断も感情も揺さぶられますよね。 『渇愛』は、まさにその“ズレ”の正体を一つずつ輪郭化していく本でした。 読んでいて印象的だったのは、りりちゃんが単に「加害者」か「問題のある若者」では片づけられず、彼女の背後にコミュニケーションの欠落や、居場所がないまま“成果だけを先に買える世界”に依存せざるを得なかった事情が透けて見えるところです。犯罪の論理が生まれる瞬間や、「自分だけが悪いわけじゃない」と思い込む構造が、かなり具体的に描かれていて、こちら側の思い込みも揺さぶられました。 もうひとつ刺さったのは、彼女が受け取れなかった人との距離感です。支援者や崇拝者はいても「友達はいない」という指摘が象徴的で、周囲が期待や利害で彼女を囲んでしまうと、人はこんなにも判断を失っていくのか、という怖さと切なさが同時に来ます。誰かを“救うつもり”で近づくことの危うさも描かれていて、こちらの姿勢まで問われる感覚がありました。 「理解できない他者の行動に、理由を見つけられずにいる人」に静かに刺さる本だと思います。極端な例を通して、私たち自身の価値観のほころびも確かめられる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
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