
残酷依存症 (幻冬舎文庫)
櫛木理宇
幻冬舎 / 2022-04-07
この本について
最近、人の「裏側」をどう扱えばいいのか分からなくなる瞬間が多くて、戸惑うことがあります。表では穏やかに見える相手でも、ある拍子にまるで別の顔が出ることがあって、その揺れを前にすると自分の判断が急に心許なくなるんですよね。自分にも同じ曇りが潜んでいるんじゃないか、と不安になるというか。 『残酷依存症』を読んで感じたのは、その曇りや揺らぎを無理にきれいに説明しようとしないところが、逆に救いになっているという点です。人が逸れていく瞬間を、事件の大きさではなく、「逢魔が時みたいな気配」の積み重ねとして描いてくれるので、極端な世界の話なのに、心当たりのある気配だけは妙にリアルに届きます。登場人物が使う昔気質の言い回しや、少しずれた温度感も、皆がそれぞれの寂しさや不器用さをごまかすための“生活の手触り”として効いていて、自分の周囲の会話にも似た影を見つけてしまいます。 どこかで「人は簡単には変わらないし、簡単には壊れない」なんて思っていたけれど、実際には小さな条件が重なるだけで、誰でも別の道に傾いてしまう。その当たり前の怖さを、過剰に dramatize せずに静かに差し出してくれるので、自分の中の影を直視するのが少しだけ楽になる気がしました。 人間関係の“気配”に敏感で、理由の分からない不安を抱えがちな人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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