
傲慢と善良 (朝日文庫)
辻村 深月
朝日新聞出版 / 2025-06-20
この本について
人の期待に合わせて動いてきたはずなのに、どこかで「これって自分の意思なのかな」と立ち止まってしまう瞬間ってありますよね。周りに合わせてきただけなのに、気づけば小さなプライドに縛られて動けなくなる。私自身もそういう場面が何度もあって、答えのないモヤモヤだけが積もっていきました。 『傲慢と善良』が刺さるのは、そのモヤモヤを大げさに救うのではなく、私たちの“解像度の低い本音”をそのまま描き切るところです。例えば、自己評価は低いのに自己愛だけは強いという矛盾や、誰かに決めてもらいたいのに恋愛の好みだけは譲れない心のズレ。読みながら「ああ、自分にもこういうところあるな…」と認めざるを得なくなります。しかも、それを責めるでも肯定するでもなく、ただ「そういう人間ってこういう動きをするよね」と淡々と示してくれるのがありがたい。 もうひとつ響いたのは、“意思がないまま選んだ道”と“自分で選びたい気持ち”の揺れが、とても生活に近い形で描かれていることです。誰かに道を示されると従ってしまうのに、いざ自分で選ぼうとすると怖くなる。その往復運動のリアルさが、変に励まされるよりよっぽど安心するんですよね。 自分の「選べなさ」や
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