
傲慢と善良
辻村 深月
株式会社朝日新聞出版 / 2022-09-07
この本について
婚活や人間関係って、相手どうこうと言いながら、結局は「自分でもよくわかっていない自分」と向き合わされる瞬間が多いですよね。ピンとこない理由も、相手の鈍感さへの苛立ちも、親との距離感に感じる窮屈さも、言葉にしづらいまま蓄積していく。辻村深月さんの『傲慢と善良』は、そのモヤモヤを無理に晴らすんじゃなくて、「そこに確かにあるもの」として静かに照らしてくれる小説でした。 特に刺さったのは、自分の長所を理解してもらえないせいにして傷つかないようにする防衛や、「ピンとこない」の正体が実は自分自身の値付けだったという指摘です。読んでいて、誰かとの関係でつまずくとき、相手の問題と自分の問題がどこで混ざっているのかが少し輪郭を持ってくる感覚がありました。また、親の善良さゆえの思い込みとか、男性側にもある鈍感さと優しさの同居みたいな、日常では言語化しづらい微妙な温度差も丁寧に拾われています。登場人物たちが「善良だからこそ間違える」姿を見ていると、自分の周りの誰かとの距離の測り方もすこし変わっていくはずです。 誰かとの関係に疲れたとき、自分の感覚がズレている気がしても説明できないとき、静かに背中を押してくれる物語です。とくに「相手を理解したいし、理解されたいけれど、どうしてもうまく噛み合わないことが多い人」に届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの55%が集中しています。
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