
ままならないから私とあなた (文春文庫)
朝井 リョウ
文藝春秋 / 2019-04-10
この本について
最近、人との距離の取り方がよくわからなくなることが増えました。自分の正しさを守りたい気持ちと、相手の世界を尊重したい気持ちがぶつかって、結局どちらにも踏み切れないまま終わる…みたいな瞬間がやたら多いんですよね。合理化や効率化の話になるとさらに複雑で、「これって本当に自分の本音なのか?」と考え込んでしまうこともあります。 『ままならないから私とあなた』は、そのぐちゃっとした迷いを、無理に片付けようとせず、そのまま正面から扱ってくれる小説でした。とくに刺さったのは、違いから逃げずに、往復運動の中で自分を知っていく、という視点です。相手と分かり合えていないことを前提にして、それでも関わり続けるときにだけ見えてくるものがある。さらに、変化の波にうまく乗れない自分を責めすぎず、時代が共存でできているという見方を差し出してくれるのも、この本ならではでした。「コントロールできないものが怖い」という気持ちを、否定せずにそっと置いてくれる感覚があります。 読むと、他人との違いに敏感になりすぎて疲れているときでも、「この不安も含めて、今の自分なんだ」と思える余白が生まれます。こんな人に刺さると思います。人間関係で“正しさ”と“好き”がせめぎ合う瞬間が続いている人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの46%が集中しています。
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