
風と共にゆとりぬ (文春文庫)
朝井 リョウ
文藝春秋 / 2020-05-08
この本について
最近、自分の行動や選択に理由を説明できないと落ち着かないときがあります。なんでこんな気持ちになるんだろう、なんで人間関係がぎこちないんだろう、なんで自分だけ空回りしてるんだろう……と、考えたところで特に答えは出ないのに、つい理由を求め続けてしまうようなあの感じです。 『風と共にゆとりぬ』を読んでいて思ったのは、朝井リョウさんはその「理由の見えなさ」を、真正面からではなく、ちょっと笑える形にして差し出してくれるところです。たとえば、粉瘤と格闘しながらも妙に冷静だったり、バレーボールへの執着を自分でも制御できていなかったり、友達づき合いの距離感に戸惑ったり。どれも些細なようで、でも自分の日常にも同じ構造があるなと気づかされます。笑っているうちに、ああ、私も理由を見つけたいだけだったのか、と肩の力が抜ける感じがありました。 もう一つ大きかったのは、「枠」や「評価」の扱い方がそのまま自分の悩みに重なってくるところです。誰かにとっての“待ち遠しい”を作る側に回る大人の視点とか、自分以外の誰かから賛美されないと安心できない感覚とか。本人が淡々と語るからこそ、こちらの心の奥のほうがじわっと反応するんですよね。自分の行動がちょっとだけ軽くなる、そんな読後感があります。 自分の不器用さを笑い飛ばしたいけど、ちゃんと向き合う余裕もほしい人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
読書の順序
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