
夜明けのすべて
瀬尾まいこ
水鈴社 / 2020-10-20
この本について
仕事の場で、ふと「自分はどう見られているんだろう」と気になって動きが固くなる日があります。誰かの一言で急に救われることもあるし、逆にちょっとした評価に振りまわされることもある。周りに合わせたいのか、自分のためにやっているのか、その境目がよくわからなくなる瞬間ってありますよね。 『夜明けのすべて』は、その曖昧さをごまかさずに描いてくれる小説でした。登場人物たちの「気を遣っているんじゃなく、自分が好きでやっているのかもしれない」という気づきは、無理に前向きになる話ではなくて、日々の小さな行動に“別の見え方”をくれる感じがあります。ほんの短いやりとりで心がほどける場面も多くて、「人との距離の取り方って、こんなに緩くていいんだ」と思わされました。仕事について語られる言葉も、立派な使命感じゃなく、生活の延長に近いリアルさがあって、自分の時間に意味を持たせたいだけなんだよなと静かに腑に落ちます。 強いドラマが起きるわけではないけれど、何も起きない日々の積み重ねがちゃんと動いていることを思い出させてくれる物語でした。自分の「気の使い方」に少しでも違和感がある人に刺さると思います。
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