
幸福な食卓 (講談社文庫)
瀬尾まいこ
講談社 / 2007-06-15
この本について
最近、何に対しても「ちゃんとしなきゃ」と思いすぎて、気づくと身体のどこかが固まっていることがあります。新しい環境に入ったときも、家族との距離感に迷ったときも、うまくやらなきゃという真面目さばかり先に立ってしまう。頭では分かっていても、力を抜く方法ってなかなか分からないものです。 『幸福な食卓』を読んでいて刺さるのは、まさにその“力の抜き方”が、登場人物たちの会話や小さな行動の中に、ふっと滲んでくるところでした。「真剣ささえ捨てることができたら困難は軽減できた」という言葉は、投げやりでもなく、逃げでもなく、ただ呼吸を取り戻すような感覚があります。また、人がふといつもと違う行動をしてしまうのは、どこかに予感があるからだという視点は、自分の変化を責めずに受け止める余裕をくれます。家族についての「簡単には切れないから安心して甘えていい」という言葉も、関係を守ろうとし過ぎて疲れているときに、そっと肩の力を下ろさせてくれるはずです。 無理に前向きになろうとしなくていいから、今の自分に少しだけ居場所を作りたい人に向いています。丁寧な物語のなかで、自分の生き方を締め直すというより、少しゆるめる感覚に近い本でした。
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