
私をくいとめて (朝日文庫)
綿矢 りさ
株式会社朝日新聞出版 / 2020-02-07
この本について
なんとなく毎日が不満で、でもその理由をうまく言語化できないときってありますよね。人との距離感も、仕事との向き合い方も、「これでいいのかな」と思いながら、とりあえず今日をこなしてしまう感じ。自分もよくそのループにハマります。 『私をくいとめて』は、そのモヤモヤを無理に解決しようとしないまま、でも少しだけ位置をずらして見せてくれる小説でした。たとえば「根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在」の話は、誰かを必要とできない自分に落ち込んだとき、救われる感覚があります。必要か不要か、白黒つけようとしていた思考が、じわっとほぐれていくんです。 また、孤独でいるのが自然体なのに、その孤独に自分がゆっくり侵食されていく感じとか、仕事で「必要とされる喜びと利用される悲しみ」が混ざる瞬間とか、言葉にしにくい感情を正面から代弁してくれる場面が多い。だから読んでいると、自分のなかの小さな痛みが「これ、私だけじゃないんだ」と静かに整っていく感覚があります。 大きく人生が変わるとか、答えが見つかるとか、そういう類の本ではないです。でも、日々の「なんでこんなにしんどいんだろう」という疑問の横に、そっと別の視点を置いてくれる一冊でした。刺さるのは、「人との距離がうまく取れなくて、自分の扱いに迷っている人」だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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