
死にがいを求めて生きているの (中公文庫)
朝井リョウ
幻冬舎 / 2022-10-21
この本について
生きがいとか、人生の価値とか、そういう大きい言葉に向き合うつもりなんてなかったのに、気づいたら比べてしまって落ち込む日ってありますよね。誰かの結婚報告や、仕事での活躍の話を聞くだけで、自分が取り残されている気がしてしまう。別に張り合いたいわけじゃないのに、勝手に比較が始まって、理由もなく胸だけ重くなるあの感じです。 『死にがいを求めて生きているの』は、その「勝手に始まる比較」や「自分で自分をジャッジしてしまう地獄」を、真正面から描いています。きれいごとを振りかざすんじゃなくて、一度絶望ごと飲み込むような視点をくれるのが、この本の不思議な効き方です。たとえば、自分の価値がわからなくなったとき、世界に参加するしかない不器用さを抱えたまま、それでも歩き続けている他の誰かの姿が、少しだけ呼吸を軽くしてくれる。あるいは、誰かを救う前にまず「自分を否定し続ける作業をやめる」ことの難しさと尊さを、静かに認めてくれる。 読んでいると、世界はひとつの塊じゃなくて、同じ集団の中にも濃淡があって、自分もそのグラデーションのどこかにいるだけなんだと思えてきます。生きがいを無理に見つける物語ではなく、脱落できない世界で、それでも自分のスピードで生きようとしている人の記録です。 「何も成し遂げていない気がして苦しい人」に、そっと届く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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