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小説おすすめ 26 冊 — ふだん小説を読まない人が「最後まで読んだ」作品をデータで選ぶ
小説の推定完走率は中央値 45% で、ビジネス書の 3 割前後を大きく上回りました。BookNotion 読者 6,183 人の読書データから、ふだんビジネス書を読む人が読み切った小説 26 冊を 3 つの軸に分け、「主張・読みどころ・こんな人に」の形で紹介します。
- 公開
- 2026/09/04
- データ取得日
- 2026/09/04
小説でつまずくのは作品選びより、最初の数十ページを越えられるかどうかです。読者 6,183 人の読書記録から、26 冊を 3 つの軸で分けました。
小説の選び方 — 3 つの軸
軸 1. 読み慣れていないなら、区切りのある短い作品から。
小説の推定完走率の中央値は 45% で、全ジャンルの中で最も高い水準です。それでも途中で置かれる作品はあり、読み切られている側には共通点があります。短編連作、ミステリ、問いが一つに絞られた作品であること。章ごとに区切りがあって次に進む理由がはっきりしている本ほど、最後までたどり着いています。

No. 1
成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ
宮島未奈
読者 59 人 · 推定完走率 77%
この本の主張琵琶湖のほとりに住む中学生・成瀬あかりが、閉店する百貨店に通い、漫才に挑み、周囲を巻き込んでいく連作短編。本屋大賞受賞作で、読み始めた人の多くが最後まで読んでいます。
読みどころ
- 大きな目標を口に出し続けることを、ほら吹きと紙一重だと認める潔さ
- 挑戦の多くは実らなくても、経験は残るという考え方
- 幼なじみの視点から見た成瀬が、そのまま読者の視点になる
こんな人に自己啓発書に疲れて、前向きさを物語の形で受け取りたい人
軸 2. 長編と上下巻は、上巻の前半で合うかを決める。
上下巻の作品で止まるとすれば、その場所は上巻の前半です。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では下巻の推定完走率が上巻を 10 ポイント上回っていて、上巻を越えた読者はそのまま最後まで進んでいます。冒頭が合うかどうかだけ先に確かめて、越えられたら分量は気にしなくてよい、という選び方ができます。

No. 2
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
アンディ ウィアー and 小野田 和子
読者 172 人 · 推定完走率 59% · 読者が増加中
この本の主張太陽の異変で滅亡へ向かう地球を救うため、記憶を失った男がたったひとり宇宙船で目を覚ますところから始まる SF。科学の推理で状況を切り開いていく面白さで、小説ジャンルで最も読者を増やしています。
読みどころ
- 自分が誰なのかを、単位の使い方から推理していく冒頭の手際
- 生命には水が必要だという思い込みを疑う、科学者の発想
- どんなに絶望的でも日常は続く、という主人公の腹の据わり方
こんな人にSF は難しいと敬遠している人。理系の推理が好きな人
軸 3. 作家が合ったら、その旧作とシリーズへ進む。
読者数のランキングに出てこない作品ほど、読み始めた人のほとんどが最後まで読んでいます。話題作でその作家が合うと分かった人が、旧作やシリーズの続きへ進んでいるからです。次の 1 冊で迷うより、面白かった作品の著者名で遡るほうが確実です。この作品も、話題作から遡って読まれている代表です。

No. 3
何者(新潮文庫)
朝井 リョウ
読者 35 人 · 推定完走率 95% · 読者が増加中
この本の主張就職活動を前にした大学生五人が、対策のために集まりながら、SNS と面接で語る言葉の裏にある本音と自意識を露わにしていく直木賞受賞作。読んだ人のほぼ全員が最後まで読んでいます。
読みどころ
- 就活のつらさは、たいしたことのない自分を大きく語り続けることにある
- 他人に理解を求める人ほど、自分は他人を想像できていない、という観察
- 評価が低くても自分の内側から出したものを出す、という不格好さの肯定
こんな人に就活生と、SNS で人の投稿にモヤモヤしたことがある人
以下では、この 3 つの軸で小説の 26 冊を並べます。
最後まで読まれた小説 — 短編連作とミステリ
この章のポイント一定数の読者がいる小説を、後半まで読み進められた割合が高い順に並べました。分厚い長編よりも、章ごとに区切りがあって次の章に進む理由が明確な作品が上位に来ています。順番は完走率の高い順で、軸 1 に挙げた『成瀬は天下を取りにいく』もこの並びの上位です。ここでは続編から並べています。

No. 4
成瀬は信じた道をいく (「成瀬」シリーズ)
宮島未奈
読者 56 人 · 推定完走率 85% · 読者が増加中
この本の主張本屋大賞受賞作の続編。周囲の目を気にせず突き進む成瀬あかりを、小学生、受験生の父、近所の主婦といった新しい語り手たちの視点から描く連作です。読み切られ方は前作を上回っています。
読みどころ
- 肩書きより、いま何をやるかで自分を決めるという成瀬の生き方
- 目標が定まっていなくても日々は歴史になる、と語り手が気づく場面
- 前作を読んだ人ほど、成瀬を見守る側の変化を味わえる
こんな人に前作で成瀬に元気をもらった人。短編連作で気軽に読みたい人

No. 5
六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)
浅倉 秋成
読者 46 人 · 推定完走率 79% · 読者が増加中
この本の主張新卒採用の最終選考に残った六人が、内定の席をひとつ争うことになる青春ミステリ。就活という誰もが通る儀式を舞台に、人を一面で判断することの危うさを問います。
読みどころ
- 就活とは学生と企業が互いに嘘をつき合う場だ、という冷めた視線
- 完全な善人も完全な悪人もいない、という物語全体を貫く問い
- 伏線が回収される終盤まで、ページをめくる手が止まりにくい構造
こんな人に採用や面接に関わる社会人。ミステリの入口を探している人

No. 6
こころ
夏目 漱石
読者 72 人 · 推定完走率 76%
この本の主張明治の終わりを背景に、「先生」と呼ばれる男の孤独と罪の意識を、若い語り手との交流と一通の長い手紙で描く日本文学の代表作。人を信じることと裏切ることの間で、今も読者を揺さぶります。
読みどころ
- 人を愛せるのに、近づいてくる人を抱きしめられない先生という人物像
- 尊敬される側になった途端に軽んじられる、という不安に満ちた人間観
- 古典でありながら、手紙の形式のため後半ほど読む速度が上がる
こんな人に教科書で一部だけ読んで終わった人。人間不信の正体を考えたい人

No. 7
正欲(新潮文庫)
朝井リョウ
読者 90 人 · 推定完走率 73% · 読者が増加中
この本の主張「多様性」という言葉の外側に置かれた人たちの孤独と、その人たちが出会うまでを描く長編。自分は普通だと思っている読者ほど、その前提を揺さぶられます。
読みどころ
- 多様性を語る側もまた偏った一人にすぎない、という痛烈な指摘
- 多数派であり続けることのほうが実は珍しい、という逆転の視点
- 言葉を交わしていても、核心は互いに隠したままの関係の描き方
こんな人にダイバーシティという言葉に、どこか違和感を持っている人

No. 8
グラスホッパー (角川文庫)
伊坂 幸太郎
読者 42 人 · 推定完走率 73%
この本の主張妻を殺された男が復讐のために潜り込んだ裏社会で、殺し屋たちの思惑が交錯するクライムサスペンス。軽快な会話と、人間の本質を突く台詞が同居する伊坂幸太郎の代表作のひとつです。
読みどころ
- 怒りや不安は動物的で、思い悩むことこそ人間らしい、という亡き妻の言葉
- 不幸の多くは誰かの油断から生まれる、という物語の裏テーマ
- 群像劇が終盤で一点に収束していく構成の気持ちよさ
こんな人に伊坂幸太郎を読んだことがない人。テンポのいい小説が好きな人

No. 9
汝、星のごとく
凪良ゆう
読者 48 人 · 推定完走率 72% · 読者が増加中
この本の主張瀬戸内の島で出会った高校生の暁海と櫂が、孤独と欠落を抱えたまま惹かれ合い、すれ違いながら大人になっていく本屋大賞受賞作。正しさと愛のあいだで生きることを、逃げずに描きます。
読みどころ
- 誰かに夢中でも自分の中心は明け渡さない、という年長者の教え
- 自活できる力を、結婚しても手放さず手入れしておくという考え
- 愛することが祈りにも呪いにもなる、という切実な愛の形
こんな人に恋愛小説を敬遠してきた人。地方と家族のしがらみに覚えがある人

No. 10
君のクイズ
小川 哲
読者 39 人 · 推定完走率 67%
この本の主張クイズ番組の決勝で、対戦相手が問題を読まれる前に正解した——その謎を、競技クイズの選手である主人公が解いていく物語。競技クイズの世界を通して、知識と人生のつながりを描きます。
読みどころ
- 知識は互いに結びついているから、増えるほど覚えやすくなるという実感
- 正解できることは、その事柄と自分の人生が関わってきた証だという視点
- ミステリの形をした、記憶と人生についての小説
こんな人にクイズ番組が好きな人。短い時間で読める上質なミステリを探している人

No. 11
羊と鋼の森 (文春文庫)
宮下 奈都
読者 51 人 · 推定完走率 66%
この本の主張高校生のときに調律師と出会い、ピアノ調律の世界に魅せられた青年の成長を、静かな筆致で描いた本屋大賞受賞作。才能の有無に頼らず仕事と向き合う姿が、読者の心に残ります。
読みどころ
- 才能の有無で悩むより、経験や訓練や根気で置き換えていくという構え
- 見返りを計算した努力は小さくまとまる、という仕事論
- 物の名を細かく知ることが表現を支える、という美学
こんな人に職人的な仕事に憧れる人。静かな小説で気持ちを整えたい人

No. 12
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック, カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン), and 浅倉 久志
読者 48 人 · 推定完走率 65%
この本の主張戦争後の荒廃した地球で、火星から逃亡中のアンドロイドを狩る賞金稼ぎの物語。映画『ブレードランナー』の原作として知られ、人間と機械を分けるものは何かという問いをめぐります。
読みどころ
- 人間らしさの核心は知能ではなく、他者への感情移入だという主張
- 放っておくと勝手に増えていく無用なもの「キップル」という概念
- 追う側が追われる側の身になってしまう瞬間の揺らぎ
こんな人にAI と人間の境界に関心がある人。海外 SF の古典を 1 冊読みたい人
ジャンルを問わず「途中でやめられなかった本」は面白い本おすすめでも紹介しています。小説とビジネス書が同じ基準で並んでいるので、読み比べてみてください。
ビジネス書読者に多い小説 — 話題作と SF
この章のポイント読者数の上位は、話題作と SF、そして「社会と個人のずれ」を扱う作品です。読者数が多い本は、ヨムナビの読者層を反映して、ビジネス書と一緒に読まれている小説です。併読データを見ると、この章の本の読者は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』や『嫌われる勇気』を一緒に読んでいる傾向があります。働きながら本を読めなくなった人が、小説に戻ってきている——そう読める動きです。上下巻の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、上巻を軸 2 で紹介しました。ここに並ぶのは下巻です。

No. 13
イン・ザ・メガチャーチ (日本経済新聞出版)
朝井リョウ
読者 192 人 · 推定完走率 52% · 読者が増加中
この本の主張アイドル運営に参画する男、推し活で心を癒やす大学生、応援していた俳優の報道に揺れる女。ファンダム経済を仕掛ける側とのめり込む側の視点から、物語が人を動かす力とその危うさを描きます。小説ジャンルで最も多く読まれています。
読みどころ
- 雑談は内容ではなく、相手とその場を気づかう行為だという発見
- 視野を広げれば正解は反転し続ける。だからどこかで間違う覚悟を決める
- 我を忘れられる対象があるほうが楽だ、という現代への静かな診断
こんな人に推し活やコミュニティに、少しだけ引っかかりを感じている人

No. 14
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
アンディ ウィアー and 小野田 和子
読者 128 人 · 推定完走率 69% · 読者が増加中
この本の主張上巻の謎が解けたあと、物語は人類を救う手段と、ある出会いの行方に向かって加速します。上巻を読み終えた人のほとんどが、そのまま下巻まで読み切っています。
読みどころ
- 知性は惑星の他の生き物より少しだけ賢い程度に進化する、という会話
- 疲れているときは無理に解決せず明日に回す、という研究者の知恵
- 終盤で選択を迫られる主人公と、読み終えたあとの余韻
こんな人に上巻を読んだ人。読後感のいい物語を求めている人

No. 15
傲慢と善良 (朝日文庫)
辻村 深月
読者 162 人 · 推定完走率 30%
この本の主張結婚を目前にした婚約者が姿を消し、残された男が彼女の過去をたどっていく物語。婚活と恋愛を通して、現代人の「傲慢さ」と「善良さ」を容赦なく言い当てる長編です。
読みどころ
- 相手にピンとこないのは、無意識の自己評価のせいだという指摘
- 自分の欲しいものが分かっている人ほどうまくいく、という結婚相談所の言葉
- 従順に生きてきた人ほど自分の意思が薄い、という逆説
こんな人に婚活中の人。自分の恋愛がなぜうまくいかないか言語化したい人

No. 16
コンビニ人間 (文春文庫)
村田 沙耶香
読者 120 人 · 推定完走率 29% · 読者が増加中
この本の主張コンビニのアルバイトを長く続け、店員でいるときだけ世界の部品になれる女性を描いた芥川賞受賞作。「普通」を押しつける側の傲慢さを、軽やかな文体であぶり出します。
読みどころ
- 正常とされる世界は異物を静かに排除する、という主人公の冷静な認識
- 他人の苦しみを分かりやすい形に決めつけたがる周囲への違和感
- 短く読めるのに、読後に自分の「普通」が揺らぐ
こんな人に職場で浮いている感覚がある人。芥川賞作品を 1 冊読んでみたい人

No. 17
三体
劉 慈欣, 大森 望, 光吉 さくら, ワン チャイ, and 立原 透耶
読者 112 人 · 推定完走率 35%
この本の主張文化大革命の時代に始まり、現代の科学者たちが不可解な現象に直面していく中国発の世界的 SF。人類の本質は悪だという疑いと、壮大なスケールの想像力で読者を圧倒します。
読みどころ
- 人類は自力で道徳的になれない、と結論した科学者の絶望
- 無知は進化の欠陥なのか利点なのか、という問いかけ
- 知識人より庶民のほうが未知を恐れない、という人物の対比
こんな人に壮大な設定に浸りたい人。科学と歴史の両方が好きな人

No. 18
アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)
パウロ・コエーリョ, 山川 紘矢, and 山川 亜希子
読者 111 人 · 推定完走率 45%
この本の主張羊飼いの少年が、夢に見た宝を求めてアフリカの砂漠を旅する寓話。世界中で読み継がれてきた「自分の道を歩む」ことについての物語で、小説というより人生の教科書として読まれています。
読みどころ
- 恐れているうちが一番つらく、夢を追っている最中の心は傷つかない
- 他人の人生には口を出すのに、自らの生き方には無頓着だという観察
- 夢の実現を阻む唯一のものは失敗への恐れ、という核心
こんな人に転職や独立を前にして、背中を押してほしい人

No. 19
アルジャーノンに花束を〔新版〕
ダニエル キイス and 小尾 芙佐
読者 83 人 · 推定完走率 52%
この本の主張知的障害のある青年が手術で天才になっていく過程を、本人の報告書の形で綴る SF の古典。知能が上がるほど孤独になる皮肉を通して、知性と愛情の関係を問い続けます。
読みどころ
- 他者への思いやりを欠いた知能は空しい、という作品全体の結論
- 学ぶ意味は、それまで信じてきたことが正しくないと知るところにある
- 文体そのものが主人公の変化を映す、翻訳小説ならではの仕掛け
こんな人に泣ける小説を探している人。能力主義に疲れた人
村上春樹の作品はこの記事には含めず、村上春樹のおすすめで作品ごとの読まれ方をまとめています。
読み継がれる古典と海外 SF
この章のポイント古典は「なぜ今も読まれるか」が明確な本ほど、読み切られています。発売から時間が経っても読まれ続けている本には、現在と地続きのテーマがあります。監視社会、言語と暴力、戦争と倫理。『山月記』は短いこと、『一九八四年』と『虐殺器官』は今のニュースと重なることが、読み切られる理由になっています。時代を超えて読まれている本は一生に一度は読むべき本でジャンル横断で紹介しています。

No. 20
山月記
中島 敦
読者 33 人 · 推定完走率 95%
この本の主張詩で名を残そうとして果たせず、虎の姿になった男の告白を描く短編。傷つくのを恐れて努力せず、かといって凡人にも甘んじられない自尊心の描写で知られ、短いからこそほぼ全員が読み切っています。
読みどころ
- 才能の不足が露呈するのが怖くて、磨く努力を避けた男の悔恨
- 人生は何もしないには長すぎ、何かを成すには短すぎるという嘆き
- 教科書で読んだ人が大人になって読み直すと、刺さり方が変わる
こんな人に自分の可能性を試さずに年を重ねてきた自覚がある人

No. 21
一九八四年 (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル, 高橋 和久, and 高橋和久
読者 64 人 · 推定完走率 47%
この本の主張思考まで監視される全体主義国家で、ひとりの男が体制に疑問を抱いていくディストピア小説の代表作。言葉を減らせば思考も減らせる、という支配の仕組みが今も読者を不安にさせます。
読みどころ
- 二足す二は四だと言える自由がすべての自由の土台、という主張
- 語彙を削って思考の幅そのものを狭める、という言語政策の恐ろしさ
- 戦争が支配層にとって国内向けの道具になる、という分析
こんな人にSNS と監視の時代に、古典から現在を読み解きたい人

No. 22
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
読者 57 人 · 推定完走率 59%
この本の主張テロ対策で管理社会化した先進国と、内戦と虐殺が増え続ける後進国。その背後にいる謎の男を追う米軍特殊部隊の大尉を描く近未来 SF で、日本 SF の金字塔として読み継がれています。
読みどころ
- 自由の本質は、他の可能性を自ら手放して選ぶことにあるという定義
- 働くことは良心を眠らせる装置だ、という登場人物の冷たい仕事論
- 言語と虐殺を結びつける設定の説得力と不気味さ
こんな人にSF に思想の重さを求める人。国際ニュースの裏側を考えたい人

No. 23
同志少女よ、敵を撃て
逢坂 冬馬
読者 49 人 · 推定完走率 60%
この本の主張独ソ戦のさなか、村を焼かれた少女が女性狙撃兵として訓練され、戦場で本当の敵と向き合う本屋大賞受賞作。戦争小説でありながら、女性が戦う意味を正面から問う物語です。
読みどころ
- 普遍に見える倫理も人間の合意にすぎず、戦争がそれを暴くという指摘
- 生き残った兵士は強くなったのでなく、戦場向きに変えられただけ
- 誰かにただ語れたとき、自分の戦争は終わるという言葉
こんな人に戦争を扱った小説を避けてきたが、今の世界情勢で読みたくなった人
隠れた名作 — 読者は少なく、完走率は最上位
この章のポイント読者数のランキングには出ない作品。いずれも読み始めた人のほとんどが最後まで読んでいます。朝井リョウの旧作と、人気シリーズの続編、そして企業小説です。読者数は多くありませんが、完走率はこの記事の中で最上位の水準です。軸 3 の『何者』も同じ性格で、話題作から入って著者の別作品やシリーズの続きに進んだ読者が、最後まで読み切っています。

No. 24
スター
朝井 リョウ
読者 38 人 · 推定完走率 95% · 読者が増加中
この本の主張映画の賞を分け合った二人の若者が、名監督の下で映画を撮る道と、動画配信で数字を追う道に分かれていく物語。質か速さか、作品か見え方か——表現をめぐる現代の問いを描き、読み始めた人のほぼ全員が最後まで読んでいます。
読みどころ
- 消費者が支払っている対価はお金ではなく時間だ、という気づき
- フィクションの役目は答えでなく問いを渡すことだ、という登場人物の言葉
- じっくり待つ余裕を失っていく時代への、静かな警告
こんな人にものづくりや発信に携わる人。数字と質の間で揺れている人

No. 25
星を編む
凪良ゆう
読者 37 人 · 推定完走率 88% · 読者が増加中
この本の主張『汝、星のごとく』で語りきれなかった人々の物語を、三つの中編で描く続編。教師の過去、作家を支えた編集者たち、そしてその後の暁海の人生——愛の形をひとつに決めない姿勢が貫かれています。
読みどころ
- 誰かを支えられるのは、心も暮らしも自立している人だという親子論
- 同じ物語でも、読む時期によって心に残る場面が変わる
- 完璧な愛など存在せず、いびつさこそが愛の本質だという言葉
こんな人に『汝、星のごとく』を読み終えて、余韻が残っている人

No. 26
ドラマ「半沢直樹」原作 ロスジェネの逆襲: 2020年7月スタートドラマ「半沢直樹」原作
池井戸 潤
読者 52 人 · 推定完走率 95%
この本の主張半沢直樹シリーズの第三作。子会社の証券会社に出向した半沢が、IT 企業の買収案件をめぐって親会社である銀行と対決する企業小説です。読者数は多くありませんが、読み始めた人のほぼ全員が読み切っています。
読みどころ
- 仕事の質はそのまま人生の質になる、という半沢の仕事観
- 勝ち組とは大企業に勤める人でなく、誇りを持って働ける人のこと
- 世代を嘆く前にビジョンを示せ、という若手への叱咤
こんな人に組織の理不尽に疲れた会社員。ドラマは見たが原作は未読の人
読む順番の提案
成瀬シリーズは刊行順に。前作で成瀬の人となりを知ってから続編の語り手たちの視点に移ると、見守る側の変化がわかります。
『汝、星のごとく』を読み終えたら、そのまま続編へ。語りきれなかった人物の物語で、本編の見え方が変わります。
- Step 1汝、星のごとく凪良ゆうarrow_forward
- Step 2星を編む凪良ゆう
社会と個人のずれ、というテーマで読み継ぐ順路です。データでも『コンビニ人間』の次に『正欲』が読まれる流れがあります。短い順に読んでいくと、テーマが深まっていきます。
- Step 1コンビニ人間 (文春文庫)村田 沙耶香arrow_forward
- Step 2正欲(新潮文庫)朝井リョウarrow_forward
- Step 3イン・ザ・メガチャーチ (日本経済新聞出版)朝井リョウ
ジャンルをまたいで次の一冊を探すなら、おすすめの本をジャンル別にから辿ってください。
掲載は 26 冊。文学・小説ジャンルで読者 30 人以上の作品から、章ごとの基準で選びました。読者数は BookNotion でその本の読書記録を残した人の実数、推定完走率は読書記録の位置分布から後半まで読み進めた読者の割合を推定した目安で、上下巻は巻ごとに別々に集計しています。母集団はビジネス書中心の読書家に偏っており、小説の読まれ方も一般の小説読者とは異なる可能性があります。記事内で作品の結末や真相には触れていません。よくある質問
- 小説を読み慣れていない人はどれから読めばいいですか?
- 短く、区切りのある本から入るのがデータ上の近道です。連作短編の『成瀬は天下を取りにいく』、短編で一気に読める『山月記』、先が気になる構造のミステリ『六人の嘘つきな大学生』の三冊は、いずれも読み始めた人の大半が最後まで読んでいます。長編の名作は二冊目以降に回すと挫折しにくくなります。
- ビジネス書ばかり読んでいて小説が続きません
- データ上、小説は全ジャンルの中で最も最後まで読まれやすいジャンルで、推定完走率の中央値はビジネス書を大きく上回ります。続かない原因は小説そのものより本の選び方にあることが多く、この記事の「途中でやめられなかった小説」の章から選べば読み切れる可能性は高くなります。仕事の延長で読める『ロスジェネの逆襲』や『六人の嘘つきな大学生』から入るのも手です。
- 上下巻の小説は下巻まで読まれていますか?
- 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では、下巻の推定完走率が上巻より 10 ポイント高く、上巻を読み終えた人の多くがそのまま下巻を読み切っています。上下巻で止まるとすれば上巻の前半で、そこを越えれば最後まで行く、というのがデータの示す傾向です。上巻の冒頭は科学的な推理が続くので、そこで合うかどうかを判断するとよいでしょう。
データについて
数値は BookNotion ユーザーの読書データ(Kindle で注目した箇所の集計)を 2026/09/04 時点で集計したものです。 読者数 30 人未満の本は掲載していません。本の本文は引用していません。数値は公開時点で固定し、定期的に見直しています。