
一九八四年 (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル, 高橋 和久, and 高橋和久
河出書房新社 / 2019-12-24
この本について
日々、生きづらさの理由がはっきりしないまま、なんとなく「自分の感覚が正しいのか分からない」と不安になることってありますよね。周囲の空気に合わせるほど、自分の内側だけが置いていかれる感じが強くなる。最近そういう相談をよく受けるのですが、正直ぼく自身も同じところでつまずきがちです。 『一九八四年』を読み返していて強く思ったのは、登場人物たちが「他人に奪われない感覚」をどう守ろうとするのか、その必死さが妙に現実的だということでした。自由とは二足す二が四だと言えること、という一文は有名ですが、読者が保存していたのはむしろ、もっと小さな、もっと人間くさい瞬間なんですよね。愛情と欲望が混ざってしまう混乱だったり、誰にも見せられない心の奥だけは攻め落とされないという静かな抵抗だったり。そこに、自分の感覚を取り戻すヒントがある気がします。 特に刺さるのは、彼らが「勝ち目はないけど、ましな敗北を選ぶ」という姿勢です。完璧な解決じゃなくても、自分だけは嘘をつかないという踏ん張り方があること。合理的でも効率的でもないけれど、こういう小さな誠実さでしか支えられない瞬間って、日常にも確かにあると思います。 自分の感覚を手放したくない人に向いています。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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