
読者はどこにいるのか 読者論入門 (河出文庫)
石原千秋
河出書房新社 / 2021-07-06
この本について
本を読んでいて、「この感じ、他の人も同じように読んでるのかな」とふと不安になることがあります。一般の読者、という言い方がもう成り立っていない気がして、でも自分がどんな読者なのかもうまく言い切れない。読みながら少し宙に浮いているような、あの落ち着かなさに心当たりがある人は多いと思います。 石原千秋さんの『読者はどこにいるのか』は、その宙ぶらりんな感覚を丁寧に言語化してくれる本でした。「読者は読んでいるその時の働きでしかない」という考え方に触れると、読み方に正解を求めていた自分が少しだけ自由になりますし、「共通の知識を前提にできない時代」は、そもそも読者像を固定できないのだと納得できます。さらに、漱石の後期三部作の分析のように、具体的な作品を通して「主体」や「罪悪感」というテーマがどう読者に作用するのかが語られるので、自分の読書体験にも接続しやすいです。 読んでいて感じたのは、「読者としての自分」をつくろうと無理に形にする必要はなく、その揺れそのものが読書なんだと視点が変わること。この本は派手に心を動かすというより、読書の足場を静かに整えてくれるタイプです。特に、読書の仕方に迷いが出てきた人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
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